Ⅰ 総則
1.すべての分野にわたって、入門書、概説書、啓蒙書、実務的な資料から学術的な専門書まで、網羅的に収集する。極めて高度な専門書については、よく吟味し、必要なものを収集する。
2.意見の分かれる分野については、主要な資料だけでなく、多種多様な意見を反映できるように収集する。
3.新しい事象・技術・流行などについては、時代の変化・要請を考慮しながら収集する。
Ⅱ 一般書
1.市民の関心が高く利用の多い文芸書・教養書・実用書・レクリエーション関係の資料を中心とし、収集する。
2.市民の日常生活に役立ち、学習・調査研究に応じられるように幅広く収集する。
3.参考資料は、市民生活に関連が深く、日常生活に役立つ資料及び学習・調査研究に必要な資料を中心に、改訂等最新の情報を提供するよう注意し、各分野にわたり体系的に収集する。
また、利用しやすくハンディな参考図書については貸出用としても収集し、年鑑・白書類は、継続的に収集する。
4.外国語資料は、西洋東洋を問わず様々な言語に留意し、利用者の要望・地域の実態等に即して収集する。
(1)各国の言語で記述された教養、趣味、娯楽、文学を中心とする各分野から選択して収集する。
(2)地域の実態にそくした多文化サービスにも応えられるよう児童書から一般書まで幅広く収集する。
また、姉妹・友好都市に関する資料に留意して収集する。
(3)参考調査やクイック・レファレンスに必要な各言語で書かれた資料を収集する。
(4)外国人向けに書かれた、日本を紹介する資料を収集する。
5.「日本十進分類法」(別紙:「第1次区分表」)に基づく留意点は、以下のとおりである。
<0類>総記:図書館、百科辞典、逐次刊行物、ジャーナリズム
a.図書館、書誌学、読書指導、著作権、出版、博物館等に関する資料は、幅広く収集する。
b.情報科学に関する資料は、技術の進展にあわせ、基本的な技術書・概説書を中心とし、必要に応じて専門書も収集する。
c.東大阪市立図書館や近隣の図書館及び類縁機関が発行したものは、積極的に収集する。
d.逐次刊行物として発行された資料でも必要に応じて図書として収集保存する。
e.百科事典類は、基本的な参考図書として、最新の資料を収集する。
f.オンライン・データベース等については、その利用について検討していく。
<1類>哲学:哲学、心理学、倫理学、宗教
a.哲学、心理学、倫理学、宗教などの各分野に関する基本的な資料を、古典から現代まで、広く収集する。
b.他の学問と隣接する学際的分野や影響を与える分野については、入門書から概説書・専門書まで 幅広く収集する。
c.各分野の主要な叢書類や辞典・事典・図鑑類は、幅広く収集する。
d.異なる意見や対立する観点のある分野は、偏らないように収集する。
<2類>歴史:歴史、伝記、地理
a.歴史、地理など各分野の基本図書を収集する。
b.一般向けに書かれた読み物や入門書から概説書・専門書まで多様なレベルや観点の資料を収集する。
c.日本史は、通史・地方史・時代史などを県別・地方別に幅広く収集し、近隣府県の資料も重点的に収集する。
d.世界史は、通史・各国史・時代史などを幅広く収集し、特に出版量の少ない国や地域に留意する。
e.伝記は、日本人、外国人とも、年代を問わず幅広く収集する。
f.日本・世界各国の地理・地誌は、幅広く収集し、新しい情報を提供するよう努める。
g.旅行書・ガイドブック等は、最新の内容を提供するよう努める。
h.各分野の主要な叢書類や辞典・事典・図鑑類は、幅広く収集する。
<3類>社会科学:政治、法律、経済、社会、教育、国防
a.政治、法律、経済、統計、社会、教育、風俗習慣、国防など各分野の基本図書を収集する。
b.一般向けに書かれた読み物や入門書から概説書・専門書まで収集する。
c.各分野の理論書は、古典から現代の幅広く多様な観点の資料を収集する。
d.日常生活や実務に必要な実用書は、新しい資料を積極的に収集する。
e.社会科学は、時代性と密接に関わり多様な観点や意見に立つ資料が多いので、古典的主題から今日的主題を扱った資料も収集する。
f.法律、統計に関係する資料は、新しい内容を保持し、最新の情報を提供するよう努める。
g.社会福祉は、市民の生活に密接に関わる分野なので、幅広く収集し、新しい情報を提供するよう努める。
h.教育は、市民の関心の高い分野なので、さまざまな観点の資料を積極的に収集する。また、学校教育関係だけでなく、今日的な生涯学習に役立つ資料も積極的に収集する。
i.各分野の主要な叢書類や辞典・事典・図鑑類は、幅広く収集する。
<4類>自然科学:数学、物理、化学、生物学、医学、薬学
a.数学、物理、化学、地球科学、生物学、医学など各分野の基本図書を収集する。
b.一般向けに書かれた読み物や入門書から概説書・専門書までを主な収集の範囲とし、高度の専門書は必要に応じて収集する。
c.自然科学は、専門化細分化する分野なので、わかりやすく書かれた資料を中心に収集する。
d.自然科学は、その進歩と変化の激しい分野なので、最新の情報を常に提供できるよう、資料の更新をはかる。
e.医学は、日常生活に密着し関心の高い分野なので、幅広く収集し、最新の情報を提供するよう努める。
f.各分野の主要な叢書類・辞典・事典・図鑑類は、幅広く収集する。
g.天変地異や地震など、市民生活に関わりのある東大阪市や近隣地域の資料は、収集するよう努める。
<5類>技術:工学、建築、工業、家政学
a.建築、土木、機械、電気工学、工業、家政学など各分野の基本図書を収集する。
b.一般向けに書かれた読み物や入門書から概説書・専門書までを主な収集の範囲とし、高度の専門書は必要に応じて収集する。
c.住宅・インテリア、家政学・生活科学の分野は、日常生活に役立つ資料を積極的に収集する。
d.ゴミ問題や公害・自然保護などの環境問題や原子力については、特に市民の関心も高いので、様々な観点に留意し積極的に収集する。
e.通信や情報技術に関する資料は、特に技術の進展が著しく専門化する分野なので、わかりやすく書かれた資料から専門的なものまで収集し、最新の情報を提供するよう留意する。
f.各分野の辞典・事典・図鑑類は、幅広く収集する。
g.『JISハンドブック』については、地域の要望に応じられるよう、特に最新情報の更新に努める。
<6類>産業:農林水産業、商業、運輸、通信
a.農林水産業、商業、運輸、交通、通信など各分野の基本図書を収集する。
b.一般向けに書かれた読み物や入門書から概説書・専門書までを主な収集の範囲とし、高度の専門書は必要に応じて収集する。
c.産業は、専門化する分野なので、新しい動向に留意し、わかりやすく書かれた図書を中心に収集する。
d.園芸・ペットなどの分野は、趣味や実用に役立つ資料を幅広く収集する。
e.通信分野については、コンピュータ技術との関連に、特に留意する。
f.各分野の辞典・事典・図鑑類は、幅広く収集する。
<7類>芸術:美術、音楽、演劇、スポーツ、娯楽
a.美術工芸、音楽、演劇、スポーツ、諸芸、娯楽などの各分野の基本図書を収集する。
b.一般向けに書かれた読み物や入門書から概説書・専門書まで収集する。
c.芸術は、教養・趣味・娯楽に役立ち、暮らしを豊かにする資料を中心に収集し、時事性や流行にも留意する。
d.美術、音楽、演劇の分野は、西洋東洋を問わず、鑑賞・制作・評論・研究に役立つ資料を収集する。
e.全集・叢書・写真集・名品集なども収集し、特に各分野で紹介されることの少ない国や地域に留意する。また、芸術への理解を深める資料は、高価でも収集に努める。
f.各分野の辞典・事典・図鑑類は、幅広く収集する。
g.市内の類縁機関などの収蔵目録、図録などは、機会をとらえて収集する。
h.芸術は、個人の判断基準の相違が著しい分野なので、特に恣意的にならないよう注意する。
<8類>言語:言語、言語学
a.言語に関する理論や日本語・英語・中国語・ハングルなどの各言語の基本図書を収集する。
b.日本語については、国語学・文法・方言・語源など入門書から概説書・専門書までを収集する。
c.外国人の日本語学習のための資料や原語で書かれた資料を積極的に収集する。
d.世界の言語については、入門書から概説書までを収集し、英語・中国語・ハングルなど広く学習されている言語については、入門書から概説書・専門書までを収集する。
e.出版量の少ない言語については、漏れのないように留意する。
f.各言語の辞典は、幅広く収集する。
<9類>文学
a.日本の小説、随筆、詩歌、作品集、評論、研究書などについては、古典から現代文学まで幅広く収集し、理論や評論などは研究動向にも留意する。
b.一般向けに書かれた読み物や入門書から概説書・注釈書・専門書まで収集する。
c.日本文学は、最も利用の多い分野であり、各ジャンルにわたって幅広く収集する。
d.外国文学も日本文学に準ずる。
e.外国文学については、同じ作品でも翻訳の違いに注意し、また、比較的出版点数の少なく紹介されることのない国についても留意して収集する。
f.文庫や新書などでしか出版されない作品も多いので、特に留意する。
g.受賞作品については、収集するよう努める。
h.作品集・全集・選集などは、できるだけ収集する。
i.児童文学に関する研究書は、幅広く収集する。
j.各分野の辞典・事典は、幅広く収集する。
Ⅲ 児童書
子供時代にさまざまな本に出会うことは、感性を磨き、表現力や創造力を豊かなものにし、現在及び将来にわたって生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものである。
この認識のもとに、図書館はすべての子供が適切な時期に、適切な本の楽しみと出会えるような環境を整備するために、子供の意見を尊重し、次のような基準にしたがい、資料の収集に努める。
1.児童書は、概ね一般資料に準ずるが、子供の読書要求・学習要求に応じられるように留意し、幅広い分野にわたり収集する。
2.原則として子供向けとして出版された資料を収集する。大人向けの資料であっても、子供が関心を持って読むことのできるものは収集する。
3.参考図書は、学習・調査に役立つものを中心とし、網羅的、体系的に収集する。
4.絵本は、子供の知的・情緒的経験を広げ、想像力を豊かに養うものを中心に、幅広く収集する。
(1)表現が豊かで子供の想像力・空想力を養うものであること
(2)絵と文が調和していること
(3)知識絵本は、正確な知識に基づき、内容を的確に表現していること
5.外国絵本・外国文学は、翻訳の違いにも注意し幅広く収集する。また、比較的出版点数が少なく紹介されることのない国のものにも留意する。6.昔話・伝説・神話は、文学・物語の原点として位置付け、各国各地方にわたって幅広く収集する。
7.児童書は、特に図書との出会いを重視し、利用状況に見合った複本を準備する。
8.図版・写真・イラストなどの入った資料は、視覚的に優れ、わかりやすく表現されたものに留意する。
9.児童書の選択にあたっては、興味や流行に留意しながら、子供の意見も充分尊重し、極端な良書主義にならないよう注意する。
10.学校との連携にも留意し、総合的な学習にも対応できるようにする。
Ⅳ 雑誌
1.さまざまな主題に関する最新情報が幅広く得られる雑誌を幅広く収集する。
2.環境の変化や時代の要請に留意しながら、市民の多様な要望に応えられるよう、幅広く雑誌を収集する。
3.雑誌の分野によっては、各館分担して収集することも考慮する。
4.その他逐次刊行物・パンフレット類等は、Ⅱ項・Ⅲ項に準じて収集する。
5.保存期間に従い、欠落のないよう特に留意する。
Ⅴ 新聞
1.新聞は、全国紙、地方紙、業界紙等の他に、各分野の一般情報を提供するものを収集する。
2.各館分担して、縮刷版・抄録版の収集に努める。
3.東大阪市及び河内に関するマイクロフィルム等を収集することに努める。
Ⅵ 郷土資料・行政資料
1.東大阪市が発行した資料は、網羅的に収集する。また、以下のものが発行した資料も積極的に収集する。
(1)東大阪市の外郭団体の発行した資料
(2)東大阪市内在住の個人や民間団体の発行した資料
(3)大阪府及び近隣市町村の発行した資料
(4)東大阪市に所在する国の機関又は近隣府県が発行した資料のうち必要なもの
2.東大阪市に関する資料は、以下の点に留意して収集する。
(1)東大阪市及びその周辺地域に関連する内容が濃密な資料
(2)内容のすべて又は一部が東大阪市に関わる資料
(3)姉妹都市に関する資料
(4)古書籍と呼ばれる限定出版ものなどで入手困難であっても需要効率のよいもの
3.東大阪市出身並びに在住の著者の作品は、積極的に収集する。
4.パンフレット、リーフレット、地図、新聞、葉書、視聴覚資料などの図書以外の資料も積極的に収集する。冊子体になっていない資料については、必要に応じて合本やデジタル資料に加工・編集して提供するように努める。
5.資料の散逸を防ぐため、なるべく複本を揃える。1部しかない基本資料については、複製本などの作成に努める。
Ⅶ 視聴覚資料
1.視聴覚資料は、趣味・娯楽・教養又は文化活動に資するため、市民のニーズを把握し、必要に応じて多様なジャンルの作品を収集する。
2.視聴覚資料の収集にあたっては、評価の定まった作品や国内外の各賞受賞作品にも留意する。
3.音響資料の収集にあたっては、以下の点に留意する。
(1)主要な作曲家、演奏家、歌手等の作品
(2)伝統・古典芸能に関する資料
(3)朗読等、視覚障害者や高齢者の鑑賞に配慮した資料
(4)民族音楽、効果音等、類品の少ない資料
4.映像資料の収集にあたっては、以下の点に留意する。
(1)社会的、記録的評価の高い資料
(2)聴覚障害者等に配慮した字幕付き又は手話付き資料
(3)伝統・古典芸能に関する資料
5.今後のメディア開発の進展にあわせ、提供・保存に適切な資料を検討し、必要に応じて収集する。
Ⅷ 障害者サービス用資料
1.視聴覚障害者等の利用に供するために、点字資料、録音資料、大活字本、さわる絵本等を収集する。
2.点字・録音資料は、既に他機関が所蔵している資料については、相互協力により資料提供をする。
3.他機関が所蔵しない資料については、朗読ボランティアの協力を得て、作成又は収集する。
録音資料の作成に際して、著作権の許諾を必要とする場合、特に留意する。
4.点字・録音資料については、特に利便性や資料劣化について留意し、デジタル化に努める。
Ⅸ 電子資料
1.図書の形態で入手できないものや利用上効率的なものは、デジタル記憶媒体によって刊行される資料を収集する。
2.技術の進展にともない進化の激しい分野なので、できるだけ新しい資料を収集するように努める。
Ⅹ その他
1.地図に関しては、次の点に留意する。
(1)近隣市町村・府県の地図については、重点的に収集する。
(2)近畿地方の2万5000分の1地図を収集する。
(3)東大阪市関係の地図・古地図を積極的に収集する。
(4)住宅地図については、東大阪市を中心に必要と思われる周辺地域のものを収集し、保存する。
(5)道路地図については、全国地方別に収集する。
2.学習参考書(学習参考書とは、教科書あるいは文部科学省が定める学習指導要領に準拠する形で編集され、専ら受験対策を第一義とした図書をいう。)及び各種の試験問題集は、原則として収集しない。但し、免許・資格などの取得のための参考書は収集する。
3.漫画は、内容等を十分に検討し、収集する。
4.政府刊行物は、白書・青書・報告書等主要なものを幅広く収集する。
5.電話帳は、近畿圏域のものを収集する。
6.購入の困難な資料は、この方針に基づき積極的に寄贈依頼をする。
7.寄贈資料は、この基準に基づき収集する。
8.利用が特に多い資料については、必要に応じて複本を購入する。
XI 附則
1.この選書基準を、市民に広く公開し、批判と協力を得る。
2.この選書基準は、必要に応じて改訂する。
3.この選書基準は、平成17年2月10日から施行する。